これを食べると
「春だなぁ。」と実感する食べ物ってありますよね。
タケノコ?
イチゴ?
あさり?
人によってそれぞれだと思いますが、私はフキノトウやタラの芽の天ぷらです。
自分ではなかなか作れないので、外食する時などに出てくるととても嬉しい一品です。
その季節にしか味わえないもの、旬は大事にしたいですね。
お花の世界も同じで、多くのお花は年間通じて手に入るようになってきました。
しかし、ある一定の時期にしか見かける事のないお花もあります。
今回の定期配達のお花は、
『このお花を活けると、春を実感する』という、
私にとって『このお花なくして春はない』というお花がついにやってきました。
お花の紹介
この花を活けて初めて春が来たのを実感するというのが、このこでまりです。
大好きなお花です。
大きくしだれるたおやかな枝が作る楽しい曲線。
こぼれんばかりに咲く白いまぁるい小さなお花の可愛らしさ。
その時々により、1本1本カーブの仕方が大きく異なるので、色々な表情をとらえることが出来ます。
枝ぶりにより様々な活け方のアイディアを与えてくれる、そんな素敵なお花です。
今回は、大きな曲線を持つ枝が1本、やや直線的な枝が1本入っていました。
メインのお花はチューリップです。
品種名は分からなかったのですが、お花はあまり大きくなく、花びらの淵がフリルの様になったかわいらしい種類です。
2本入っています。
更に春らしいスイトピーが続きます。
とても長さのあるものが1本、普通くらいの長さの物が2本です。
春らしいお花は更に続き、黄色のラナンキュラスが2本です。
そこそこ大きめのお花ですので、咲くとチューリップよりもインパクトが強くなってきそうです。
アクセントになるお花も、『春といえば』なお花、リューココリネです。
華奢でしなやかな茎に大きく広がるお花が数輪付く、とても軽やかなお花です。
葉物は定番のドラセナ・ゴッドセフィアナです。
斑入りの明るいグリーンは、作品に光を感じさせてくれます。
花器を選ぶ
今回は、こでまりのしなやかさをどのように表現するのか、というので作品のすべてが決まります。
そこで、花器からあふれ出るようなこでまりのラインをを見せるために選んだのがこちらの花器です。
以前にも1度使用したことのある、細長い円柱形のガラスの花器です。(前回の作品はこちら)
一般的に生け花でよく使われる投げ入れの花器は、高さが25㎝前後のものが多いです。
ところがこの花器は、高さが60㎝ほどあります。
とても背が高い。
さらに私が普段使用しているお花を置く台は78㎝。
つまり、その台の上に個の花瓶を置くだけで、花器の口元が140㎝近くになるのです。
ですからこの花器は、上から下へ流れるようなラインを見せてお花を活けたい時にはぴったりの花器なのです。
お花を活ける
まず、枝物のこでまりから活けます。
大きくしだれた枝は向かって右手側を中心に、直線的な枝は左側を中心に入れていきます。
次にチューリップを活けます。
2本入っているので、強弱をつけて入れるようにします。
続いてラナンキュラスを活けます。
丸く大きく咲くお花なので、1輪は花器の口元に、もう1輪もあまり長さを出さずに、作品の引き締め役となるように中心近くに配置します。
スイトピーは、それ自体に動きを感じられるようなお花なので、軽やかにバランスよく入れていきます。
後で気づいたのですが、ラナンキュラスが変な方向を向いていました(汗)
先に葉物のゴッドセフィアナを活けます。
こでまりのアウトラインからはみ出さない様に、お花の下側やお花とお花の間に入れ込んでいきます。
作品の中央部分がグリーンで埋められることにより、お花の色合いがより一層際立ってきます。
最後にリューココリーネをアクセントとして入れて完成です。
まとめ
やわらかいピンク、色鮮やかな黄色、明るいグリーンに白。
そしてアクセントとなる濃いめの紫。
とても春らしい色の組み合わせです。
更に今回のお花は、葉物のゴッドセフィアナ以外すべてが、流通する季節の限られたお花です。
実際の春とは少し異なりますが、春らしいお花の出回る冬から春先のお花です。
そんな春限定のお花と春らしい色合いでまさに、春爛漫という生け花になりました。
今回のお花をサイドから見るとこんな感じです。
普段以上に、前後に厚みを持たせて活けています。
そうすることで、踊りだしそうな躍動感ある仕上がりになっています。
生産技術や流通が非常に発達したこの時代ですが、食べ物と同じくお花も旬は大切にしたいなぁと再認識させられる今回の生け花です。