定期配達のお花は、月に3回なので、先週はお休みでした。
2週間ぶりの生け花です。
ようやく朝晩が寒くなってきて、晩秋から冬へ、という気温ですが、切り花の世界ではもう早くも少し春めいたイメージのお花が入ってきました。
お花の紹介
まず枝物は土佐水木です。
ポキポキトと折れ曲がった線が特徴の、すべすべとした枝物です。
少し芽吹いている黄緑の葉っぱも美しいです。
メインのお花は白のストックです。
お庭で育てた場合は咲くのは春ですが、切り花では寒い時期から春の手前までに多く入ってくるお花です。
お花らしい甘い香りとは少し違った、キーンとしたシャープな香りが印象的なお花です。
サブのお花はスプレーマム。
更に、ワックスフラワー。
このお花を説明するのにはよく『ロウ細工の様な』という表現がされます。
他のお花の様な花びらの柔らかさはなく、パチパチとした硬さのあるお花です。
ワックスフラワーもスーッとした清涼感のある香りがあります。
オーストラリアが原産のお花ですが、今回はイスラエルからの輸入品です。
葉物はロべ。
ヤシ科の植物です。
大きいものは開店祝いなどのスタンド花や大きなディスプレイなどにも使われますが、今回は葉っぱの大きさが30㎝ほどの小ぶりなものです。
そして、小さいながらも今回ポイントとして使いたいのが、リューココリーネ。
細くたおやかな茎、艶のある美しい6枚の花びら。
大好きなお花の1つです。
こちらも真冬から春先によく出回るお花なので、「春が来たな」というイメージのお花です。
今回は、まだ本格的な冬が来ていないにもかかわらず、「早くも春が来たな」というイメージのお花です。
花器選び
お花が、『春の足音』を感じさせるチョイスでしたので、花器選びも同じく春の色合いの花器を選びたくなりました。
今回選んだのは、この春色の3色の花器です。
3個くっつけたり、均等な距離で離して配置したり、もちろん1つを単品で使用したり、と様々な使い方が出来る面白い花器です。
今回は2個と1個に分けて、セットしてみました。
くねくねと曲がっているので、お花を斜めに入れても花瓶の中でスルッと滑ってしまう事がなく非常に活けやすい花器です。
お花を活ける
まずは枝物、土佐水木から活けます。
1番太くて長い枝をメインに角度を決め、2番目の長さの物をそれにクロスさせ、残りはその前後に入れます。
角度が同じにならない様に注意します。
同時に、奥が背が高く手前が低くという階段状にならない様にも注意します。
背の順番に並んだような、記念写真の様な配置のお花は、平面的で面白みがないからです。
メインのお花であるストックは、『白い直線の塊』をイメージして入れます。
一般的には葉物は最後に入れて、バランスを取ったり広がり感を出したりします。
しかし今回は、スプレーマムの黄色で色の塊を、ワックスフラワーとリューココリーネで軽やかさを出したいので、そのベースとなるように葉物であるロべを先に入れてしまいます。
黄色の塊を意識して、2本のスプレーマムを手前と2本のストックの間に挟み込むように入れます。
このスプレーマムの様にお花を短く活ける時には、お水に浸かる部分の葉っぱは必ず綺麗に取り除きます。
葉っぱがお水に浸かっていると、お水が傷みやすくなり、お花も長持ちしません。
特にマム(菊)は葉っぱを取ったつもりでも、葉っぱの付け根部分がうまく取れていないことが多いので、気を付けて取り除きます。
今回、ワックスフラワーはどう使うか迷ったのですが、スプレーマムの上の方に散らすように入れました。
お花の紹介のところでも書きましたように、ワックスフラワーはロウ細工のような質感のお花なので、ふわふわとした軽やかさはありません。
しかし今回入っていたワックスフラワーは、ボリュームも少なく色も淡かったので、散らすように入れても重たくならずにしっくりと活ける事が出来ました。
最後にアクセントとして使いたいと思っていたリューココリーネを入れて完成です。
細い茎にお花が数輪付いているので、揺れるような感覚があります。
黄色・オレンジ・グリーンの花器に対しても、紫がとても良いアクセントとなっています。
まとめ
配達されたお花の包みを開けてみた時は、割りとオーソドックスな盛花(剣山を使って水盤に活けるお花)になるかと思ったのですが、リューココリーネが入っているのを発見した瞬間に気持ちが変わりました。
リューココリーネの『しなやかさ』と『色』を引き立たせた、柔らかな色合いの花に仕上がりました。
少し前に活けた『2つの花器に活ける』に続いて『3つの花器に活ける』という複数花器の生け花です。