ススキ、といえば、秋の七草の1つですので、今のこの梅雨の時期にはピンとこないかもしれませんが、
今週のメインはススキです。
とはいっても、まだお花の時期ではありませんので、葉っぱ部分です。
このところの雨が多く蒸し暑い、じめじめとした重い空気を、すこしだけ軽やかにしてくれるような、今週の生け花です。
お花の紹介
先ずは、メインの矢筈薄(ヤハズススキ)です。
葉っぱに白っぽい斑のある、園芸品種です。
『鷹の葉すすき』とも呼ばれるそうです。
続いて、槍鶏頭。
少し光沢のある、質感の面白いお花です。
サブのお花は、カーネーションです。
やや小ぶりのものが3本。
あしらいとして、ハイブリッドスターチスです。
スターチスは、最近とてもおしゃれな品種がたくさん出ています。
白っぽいこちらの品種は、花束やアレンジメントに入れても可憐で可愛らしいです。
カスミソウのようにお花とお花の間にふんわりと入れて使うことが多いです。
(ハイブリッドスターチスについて、もっと知りたい方はこちらの記事もオススメ)
葉物には、クッカバラです。
少し厚みのある葉物で、しっかりと主張があるので、
アクセントとしても使いやすい葉物です。
また、クッカバラは観葉植物としても人気があります。
花器を選ぶ
最初に花材を見た時は、
「今週は水盤に剣山を使て活ける、基本的な生け花の形がいいかな?」とも思いました。
ただ、矢筈薄の動きを何か面白く使えないかな、と思い、選んだ花器がこちら。
黄色のガラス花器です。
この花器、高さが約60㎝あります。
多くの投げ入れの花器は、高さが25㎝~30㎝位です。
つまり一般的に目にする投げ入れの花器の倍以上の高さがあります。
とても背が高い。
ですから、この花器にお花を活ける時は、下向きに流れるようなラインのある作品が非常に似合います。
今回も、矢筈薄で下向きの曲線を作りお花を入れていこうと思います。
お花を入れる
まず、お花を入れる前にすることが合います。
花留めを作ります。
花留めとは、投げ入れでお花を活ける時に、お花を思った位置に留めるための仕掛けです。
花器の口元から少し下に、枝物の使わない部分などを使って、支えを作ります。
今回は花器の口の直径が、約7㎝と小さいので縦方向にのみ花留めを入れました。
花器の口の直径や、入れるお花の量により、縦横に枝を渡して『十字留め』という形の花留めを作る事もあります。
花留めが出来れば、お花を入れていきます。
まず、矢筈薄を入れます。
ハサミの背側で少し葉の裏面をなぞるように滑らせると、自然な優しい曲線が付きます。
長さや曲線の曲がり具合が、同一にならないように注意して、ランダムに曲線を作ります。
次に、槍鶏頭を入れます。
先程述べたように、とても背の高い花器なので、上方向には余り長さを出さない方がバランスよく仕上がります。
槍鶏頭も短めにカットして入れます。
それから、クッカバラを入れます。
クッカバラは、茎に対する葉の付き方にそれぞれ個性があります。
茎と葉っぱの角度をしっかりと見て、一番きれいな方向を見つけ出して入れます。
その後、カーネーションを入れます。
今回、カーネーションは色の塊として扱います。
ですから、1本ずつをバラバラのところに入れるのではなく、
3本を近い場所にかためて入れます。
この場合は、2本の槍鶏頭の間に入れ込んであります。
最後に、ハイブリッドスターチスを入れて完成です。
先程のお花の紹介のところでは、
ハイブリッドスターチスは『かすみ草のように、お花とお花の間をつなぐように、ふんわりと入れる』事が多い、と記入しました。
今回はそうではなく、ハイブリッドスターチスも、固めて1箇所に入れてあります。
そうする事で、それぞれの種類のお花がしっかりと主張を持った作品になります。
まとめ
今回は、矢筈薄の『流れるような曲線』と背の高い花器、という組み合わせからイメージを膨らませた作品を作りました。
この作品を活けるポイントは、
下に流れる曲線を主張したいので、上方向には余り高さを出さないこと。
そして、同じ種類のお花はバラバラにせず、塊(グループ)を作って入れる事。
の、2つです。
そして毎回のことですが、お花が、『前が低い階段状に並ばないように、後方にも短いお花を入れる』という点も非常に大切です。
後方にも短いお花を入れる事で、動きのある立体的な作品に仕上がります。
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