今年の1回目のお花の定期配達がありました。
香りが良く、寒い季節にとてもよく似合うお花が、春らしい配色で組み合わされています。
お花の紹介
まず枝物は、白い細かいお花が美しい雪柳です。
4月初旬の桜の咲くのと同時期に公園などで見かける春のお花ですが、切り花ではこの寒い時期に出回るお花です。
枝ぶりにはとても個性があり、比較的細くてまっすぐなもの、枝分かれをしているもの、強くカーブししているもの、と様々です。
今回はそれら色々な形を組みあわせて合計3本。
メインのお花は、黄房水仙です。
寒い季節に似合う特徴的なキーンと張りつめたような香りがあります。
丈はかなり短めです。
長さのある雪柳とどう組み合わせていくかが問題です。
サブのお花にスカビオサです。
花色は、薄紫や青色ぽい紫、赤紫、ピンクそして白などがあります。
色によってお花のイメージはずいぶん異なります。
今回の様な赤紫のスカビオサは、少し和風な印象があります。
2つ目のサブのお花はスイトピーです。
春らしい可愛らしいお花の代表です。
切り花では11月下旬ごろから4月ごろに見かける寒い季節に春を感じさせるお花です。
スイトピーは、ひらひらとした可憐な花びらと、甘い香りが魅力です。
こちらも花色は豊富で、ピンク、赤、オレンジ、黄色、グリーン、紫、白、複色のお花などがあります。
さらに、吸い上げで色付けされたお花もあります。
今回は、サーモンピンクとピンクの中間位の花色、丈はやや短めのものが3本です。
スターチスが1本。
濃いめの紫色ですので、こちらは全体の色をまとめるために使おうかと思います。
葉物はドラセナ。
サンデリーという白い部分の多めの品種です。
今回は、雪柳がしっかりとした長さがあるのに対してお花は全て短め、というのが大きな特徴です。
この『差』のある枝物とお花たちをどう組み合わせていくかがポイントになってきます。
花器を選ぶ
今回は花器選びに少し迷いました。
まず、候補に挙がったのはこちら。
『とても秋らしい生け花』や、『バラが脇役』で使用した半球形の花器です。
今回の枝物もお花も、枝分かれしているものがなく、水仙以外には葉っぱも付いていないので、ボリューム感が非常に少ないです。
枝物の長さとお花たちの短さを活かして細長くまとめようかと考えました。
しかし、お花の長さがすべて短いので、おはなが1か所に固まってしまいそうです。
これでは少し息が詰まりそうです。
では、少しお花同士に空間を設けて活けてみようか。
という訳で。
選んだのは、『剣山を2つ使って活ける』でも使用した黒の横長水盤です。
お花を活ける
まず、少し大きめの剣山を向かって左に、小さな剣山を向かって右の配置します。
大きな剣山の方に雪柳を活けます。
枝ぶりを見ながら、足元はあまり広げずに引き締まった感じに、上部で前後左右に広げ空間を持たせます。
次に、黄房水仙を活けます。
右側の小さい剣山に2本、大きい剣山の雪柳の足元に1本活けます。
水仙の葉っぱは、ハサミの背で軽くしごいてカールさせると動きが出ます。
続いて左側の剣山に、スカビオサを活けます。
スカビオサは、茎の太さに比べるとお花部分が非常に大きいので、自然に傾きが付き動きが出ます。
写真では分かりづらいですが、雪柳を活ける時もスカビオサを活ける時も、後ろ側に背の高いもの・前に背の低いものが来てしまわない様に注意します。
記念写真の様に『後方の背が高いお花、前方が背が低いお花』と階段状に並べてしまうと平面的でつまらないものになってしまいます。
同様に、スイトピーも階段状にならない様に、高低差に気を付けながら活けます。
足元を引き締めるように、ドラセナを入れます。
最後に、ところどころに引き締めのアクセントとしてスターチスをのぞかせます。
黄色やピンクといったパステルの春らしい色の合間にちらっと見える程度の主張にとどめておくくらいがちょうどいいでしょう。
スターチスを入れたら、2つの剣山の位置を再度確認して完成です。
まとめ
今回は、枝物の長さに対して、すべてのお花が短めです。
低い位置にお花がかたまりすぎてしまうと、それぞれのお花が良く見えにくいばかりか、お花同士がぶつかり合い息苦しいような生け花になってしまいます。
そんなときは、剣山を複数個使用し少しの空間を設ける事で、空気の動きが感じられる軽やかなお花に仕上がります。
今回の様に2か所に分ける場合は、お花の分量でボリューム感の強弱をつけると、リズミカルで変化に富んだ生け花に仕上がります。
剣山を複数使用するのは、技術的には難しくありませんが、いつもと違った表情を出すことが出来ますので、是非お試しください。