実物(みもの)を活ける 秋の生け花

朝晩は涼しく、時に肌寒く感じる日も出てきました。

 

今週の生け花は、秋の味覚としても愛されている植物を扱っています。

 

長く生け花をしていますが、ずっと使いたかった枝物、記憶にある限りでは初めて扱う枝物です。

 

早速紹介していきます。

 

 

 

お花の紹介

栗
まず枝物、その使ってみたかった枝物というのがです。

 

実物(みもの)、大好きです。

 

とてもリズミカルで、活けていてもとても楽しいので、創作意欲がわきます。

 

そして季節感を出しやすい、という特徴もあります。

 

それなのに、なぜか今までタイミングのせいか、扱う機会がなく過ごしてきた枝物です。

 

という訳で、今日は少し気合が入っています。

 

 

 

ピンクッション

メインのお花は、ピンクッションです。

 

その名の通り、針山に縫い針が刺さっているような形状のお花です。

 

ピンクッションは、ネイティブフラワーと分類されるお花の中の1つです。

 

ネイティブフラワーとは、オーストラリアや南アフリカなど南半球のくにが原産のお花の総称です。

 

その魅力は、野性味あふれる力強さ

 

ピンクッションにおいても、それが言えます。

 

バラやガーベラといういわゆるお花らしいお花、とは全く違った、ワイルドな印象がある
お花です。

 

個性の強いお花ですが、私はピンクッションに限らずネイティブフラワーはとても好きなお花のジャンルです。

 

 

 

藤袴

サブのお花には藤袴(フジバカマ)です。

 

先週のお月見の生け花アレンジメントでも使用した、秋らしいお花の1つです。

 

秋の七草の1つにも数えられているお花です。

 

 

 

なずな

そして、葉物としてなずなです。

 

細く繊細な草花です。

 

 

 

花器を選ぶ

今回は栗のリズミカルな様子を表現したいので、花器は投げ入れ。

 

和のテイストのオーソドックスなこちらを選びました。

投げ入れの花器

 

 

 

お花を入れる

お花を活けだす前に、投げ入れの場合にはまず必要な事があります。

 

それは、花留めをつくりことです。

 

水盤にお花を活ける場合は、多くの場合剣山を使用して、お花を思った位置や角度に固定します。

 

投げ入れの際の、お花を思った位置に留める道具が花留めです。

 

花留めには、使用しない枝物の下のほうなどを利用します。

 

花留め

花器の口元より少し下に、このように一文字や十文字に突っ張り棒のように枝を渡します。

 

この仕掛けを作っておく事で、思った位置や角度にお花を固定することが出来ます。

 

今回は、入れたいお花の向きやお花の量、花器の大きさを考え、縦に1本渡しました。

 

では、お花を入れていきましょう。

 

 

 

栗を入れる

まず今回はから入れます。

 

今回は、栗の枝自体のぐっと張り出した感じを使用したいので、
アンバランスなほど左側に張り出した形にします。

 

1本は花器の口元と同じくらいの高さに、もう1本は花器の口元より下に下がるような角度で入れます。

 

入れた時に枝より上に出る葉っぱは取り除いておくと、下に流れるラインがより強調されます。

 

 

 

ピンクッションを入れる

次にピンクッションを入れます。

 

先程の栗が大きく左に張り出しているので、バランスを取るためにピンクッションは花器の真上に来る位置に入れます。

 

 

 

なずなを入れる

その後、なずなを入れます。

 

ピンクッションの後方から放射状に入れますが、
綺麗に均一な放射状ではなく、栗の枝側とピンクッションの後方に多めに入れます。

 

栗の張り出した感じを強調する為、高さは出しません。

 

 

 

藤袴を入れる

最後に藤袴を入れて、完成です。

 

藤袴も余り長さを出さず、花器の口元や作品の中心部分を密にするため、中央付近にまとめます。

 

 

 

まとめ

今回は実物、栗の木を使った生け花です。

 

この作品を活けるポイントは、
栗の葉っぱの整理と全体的な緩急の付け方です。

 

先ず栗の葉っぱですが、枝の曲線が見て取れるくらいに、茂り過ぎている部分は取り除きます。

 

そうする事で、枝の曲線も、実のリズミカルさも強調されます。

 

次に緩急の付け方ですが、ここでいう緩急は枝や葉の密集度に差を付ける事を指しています。

 

葉がたくさん集まっているところ、スッキリしているところ、をきっちりと分けます。

 

花器の口元の上はなずなや藤袴がしっかりと入っていて、細いながらも枝がしっかりと集まっています。

 

反対に栗の枝はそれ単体で入っていて、特に枝の下の方は葉っぱもありません。

 

このように違いがはっきりと分かるように入れると、主張のしっかりとした作品に仕上がります。

 

そして、全ての作品に対して言える事ですが、後方にも短いお花を入れて、
お花が前が低く後ろが高い階段状に並ばない様にする事、もとても大事です。

 

後方に短いお花が入っていることで、空間に広がりが感じられて、立体的な仕上がりになります。

 

サイドから見たところ

作品を右サイドから見た写真です。

 

正面からの写真では分かりませんが、サイドから見るとかなり前後に幅があります。

 

このくらい大きく前後に幅を持たせると、空気の流れが感じられるような伸びやかな作品に仕上がります。

 

 

 

 

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