寒い寒いと思っていましたが、来週はもう3月です。
今週は、3月3日のひな祭りにぴったりの桃のお花を使った生け花です。
「桃のお花を飾ってみたいけれど、枝物を飾るのは難しそう。。。」と躊躇されている方にも分かりやすく解説していますので、是非今年のひな祭りにはご自身で桃のお花を飾ってみて下さい。
お花の説明
まず、メインの桃の花です。
古来より桃は災いを除いて福を招くと信じられてきたため、ひな祭りには桃のお花を飾る習慣が続いているのだそうです。
ひな祭りに飾られるのは『花桃』といい、お花を観賞するために品種改良された桃です。
自然に咲く桃のお花の開花時期は、桜とほぼ同じ時期です。
つまり、ひな祭りの頃は本来の桃のお花の開花時期よりも少し早いのです。
ですから、桃のお花は寒さには余り強くはありません。
お花を飾る時は、少しでも長持ちして欲しいですよね。
ただ、余りにも固い蕾のものを選んで買ってしまうと、
咲かずに終わってしまう場合があります。
特に、お花を飾る場所が寒い所の場合、蕾のままで終わる可能性は高いです。
ご自身で桃のお花を選ぶ時は、ふっくらとしていてわずかにピンクの花びら部分が見えているくらいの状態の枝を選ぶのがおすすめです。
更に、シルバーっぽくなっている蕾は避けた方が無難です。
お花が乾燥してしまっていて、こちらも開花せずに終わる場合が多いからです。
桃のお花は衝撃にも弱いので、丁寧に扱う様にしましょう。
合わせうお花はラナンキュラスです。
丸くってコロンとした可愛らしいフォルムのお花です。
花びらがシフォンのようにとっても薄く繊細な印象もあります。
こちらもまだつぼみの状態ですが、完全に開くと2まわりほど大きくなります。
サブのお花は、リューココリーネです。
細く繊細な茎の先端に咲く星形のお花は、動きもあり表情豊かなお花です。
葉物には玉シダです。
花器を選ぶ
今回は、花桃の枝に対してお花がやや小ぶりです。
花桃の枝をメインにしたいのでお花は中央部分に集中して入れられる形。
という事で選んだのがこちらの花器。
黒の投げ入れの花器です。
漢字の『回』の字の様な中央部分が空間になている花器です。
この花器にサイドに広がるような形でお花を入れていきたいと思います。
お花を入れる
投げ入れ(花瓶に入れる活け方の事)でお花を活ける時には、まず初めにすることがあります。
花留めを作る事です。
花留めとは、花瓶の中でお花を思った位置に留める為の花器の中に作る仕掛けの事です。
枝物の使用しない部分などを花器の口の内寸よりほんのわずかに長くカットし、
突っ張り棒のように花器の口元より少し下に渡します。
今回の花器のように長方形の口をしている花器の場合は、上の写真のように横に並べて2本入れます。
この花留めに枝を当てるようにして枝を固定していきます。
花留めが出来たら、メインの花桃から入れていきます。
先程のお花の紹介のところでも述べましが、花桃は衝撃に弱いので、カットする時などに少しお花が落ちてしまう事がありますので、優しく扱います。
先端で枝分かれしている枝や、まっすぐな枝など枝の個性を見て、長さを決めて行きます。
今回のように横に長く入れる場合は、まっすぐ伸びたものは長く、先端近くで枝分かれしているものは短めにカットし中央部分に入れていくと、扇形の様なシルエットに仕上がります。
次に中央部分からサイドに向けて玉シダを入れます。
それからラナンキュラスを作品の中央にいれ、最後にリューココリーネを上の方に漂わせるように入れて完成です。
まとめ
今回は、ひなまつりにピッタリの桃の花を使った生け花です。
この作品を活けるポイントは、扇形をイメージして全部のお花を入れていく
のですが、その時に左右対称にし過ぎないことです。
左右対称はバランスが取れていて綺麗ですが、『作られた』印象になります。
左右どちらかが長い、もしくはどちらかに傾いているというように、左右非対称にすることにより動きのある面白い作品になります。
今回の作品で言うと、枝の長さは左側の方が長く、反対に一番背の高い枝は右側にあります。
そのようにわずかに左右のバランスを崩すことでお花の表情が生き生きとした作品に仕上がります。
もちろん今回の作品のように前後の厚みの薄い花器にお花を入れる時も、
後方にも短いお花を入れてお花を前が低い階段状にお花を並べないように入れるという事もとても大切です。
桃の花を使った生け花はこちらにも⇩⇩⇩⇩⇩