お正月用の生け花の花材・花瓶、そして生け方を写真と共に解説します。
こちらでは、和室や床の間にピッタリな盛花(水盤に活けたお花)を紹介します。
2024年のお正月の生け花はこちら
お花の紹介
枝物は姫南天です。
「難を転ずる」という事で縁起の良いお花です。
メインのお花は白菊です。
アクセントに黄水仙。
香りもいいお花です。
千両。
松は雌松です。
花器を選ぶ
今回は、お水を張った空間も見せながら、定番の形に活けたいと思います。
そこで選んだのがこちらの花器。
水色の円形の水盤です。
直径34cm、やや大きめの水盤です。
水面も作品の中に組み込み、のびのびとした作品を活けたいと思います。
お花を入れる
先ず、剣山をセットします。
剣山の位置は、活けたお花を飾る場所により、「どちら側に空間があると美しいか」で決める事もあります。
お花を飾る場所に特に制限がない場合は、お花の向を見て剣山の位置を決める事もあります。
『お花の向き』とは、枝物の傾き方や、メインのお花の咲いている向き、などです。
今回は、雌松のカーブの仕方、姫南天の葉の付き方などから、剣山は左側後方に置きました。
最初に姫南天を入れます。
姫南天のうち1本は、花器の直径の2倍強くらいの長さでカットします。
1本目は余り傾斜はさせずに立てて入れます。
2本目は、1本目の2/3くらいの長さでカットするのが一般的ですが、
今回はもう少し短くしています。
何故なら、姫南天の枝の特徴として、細い枝の上で葉は大きく広がっています。
2本目の枝が長いと、葉がかなりワサワサとした印象になってしまいます。
少し短めにして足元にボリュームを出した方が、上で広がっている1本目の枝とのバランスが取れます。
次に雌松を入れます。
雌松は2本目の姫南天より長くカットし、前面にやや傾斜させて入れます。
この時、姫南天2本と雌松の先端をつないで出来る三角形が、正三角形や二等辺三角形にならないように配置すると、仕上がりが綺麗です。
キレイな形の三角形は、もちろん美しいのですが、自然な感じはしません。
少しアンバランスなアウトラインの中にお花を配置していく事で、自然な感じの作品に仕上がります。
次に黄水仙を入れます。
好みもありますが、水仙は立ち姿が美しいと思うので、私は余り傾斜は付けずに入れます。
水仙の葉は、はさみの背を軽く当てて滑らせると、クルンとカールします。
慣れてくると、はさみの背を当てる角度や強さで、カールの向きや方向を調整出来ます。
強い力で、又は何度もはさみの背を滑らせすぎると、葉の張りがなくなりダラリとしてしまうので、やり過ぎには注意です。
葉に動きを付けた黄水仙を入れ終えたら、白菊を入れます。
菊のお花がまだ蕾なのと、背景も白のため見えにくいのですが。。。
お花が咲くとボリュームが出るので、黄水仙よりも少し短めにカットして中央付近に入れています。
お花を活ける時、お水の中に入ってしまう部分の葉は取り除きます。
菊の場合、メインの葉の横にある小さな葉も忘れずに取り除いてください。
葉が残っていると、お水が傷みやすくなり、その結果お花の持ちも悪くなるからです。
最後に千両を入れて完成です。
千両は、枝分かれしている場所でカットし、低い位置に入れます。
空間を埋め、水盤のヘリの線にも重なるように前方やサイドに傾斜させて入れます。
千両を入れ終えたら、正面から見た時に剣山が見えないかどうかを確認します。
剣山はお花を活ける為の道具なので、作品が仕上がった時には見えていると、未完成のような印象になるからです。
もしまだ見えているようなら、千両を移動させて隠します。
まとめ
今回は和室や床の間におすすめの定番の形に活けたお正月の盛花を紹介しました。
この作品を活けるポイントは、
姫南天のバランスと空間の取り方です。
姫南天がワサワサ・モサモサと見えないように2本の長さを決定します。
お花の種類や分量は多くないので、お水の見える空間を作品の中に取り込むことにより、作品全体のバランスを取ります。
もちろん今回の作品の中でも、お花は前が低い階段状に並ばないように注意します。
姫南天の葉っぱの間から見える千両のように、後方にも短いお花を入れる事で、立体感があり空間が感じられる自然な作品に仕上がります。
2024年のお正月花は全部で4種類。こちらから⇩⇩⇩⇩⇩