今日は寒いです!
先日はコートなしで外出できるような暖かさでしたが、今日は風も冷たく日中も全く気温が上がらず、本当に冬らしい日です。
しかし、切り花の世界ではもうすっかり春。
今週は、春のお花を使った生け花です。
ただし、色合いが少し濃くてシックなので、今日の様な冬らしいお天気にとてもよく似合う色彩です。
お花の紹介
メインの枝物は、雪柳です。
雪柳は年間通じて流通しており、季節ごとの様々な姿を楽しむ事の出来る枝物です。
今回は文字通り『雪』のような真っ白の小花が咲いている時期の雪柳です。
お花付きの枝物なので、華やかな印象に仕上がりそうな予感です。
メインのお花は、シンビジウムです。
一般的にシンビジウムは少し高価ですが、お花の持ちはとても良いので長い期間楽しむことのできるお花です。
サブのお花は、チューリップです。
お花に詳しくないという方でも、お花の名前と姿の一致するお花ですね。
そして春のお花の代表です。
花壇やお庭でチューリップが咲くのは3月の末や4月に入ってからですが、
切り花では11月頃から出回り始めます。
切り花の世界の春は、本当の春よりもかなり早い時期を指します。
サブのお花2つ目は、フリージアです。
こちらも春のお花の代表的なものの1つです。
香りも良いです。
サブのお花の3つ目は、スイトピーです。
こちらも春のお花の代表と言えます。
スイトピーは色の展開がとても豊富です。
淡い~濃いまでの様々なピンク系、赤系、白、黄色~オレンジ系、グリーン系、淡い紫など。
今回は、可愛らしい印象の色が多いスイトピーの中では、少し珍しい濃い紫です。
作品の引き締め役にピッタリな色合いです。
スイトピーは色の展開が豊富ですが、中には着色されているスイトピーもあります。
これは完全に好みの問題ですが、私は着色されているスイトピーよりも自然の色合いの方が好きです。
着色されているかどうかは、茎の切り口を見ると色が付いているので分かります。
今回のスイトピーは、天然の色合いのものです。
葉物は、ドラセナ サンデリーです。
斑入りなので、作品が明るい印象に仕上がります。
花器を選ぶ
今回は雪柳が主になる枝物なので、動きの感じられる作品にしたいです。
そこで選んだのがこちらの花器。
背の高い黄色のガラス花器です。
この花器は、高さが約60㎝あります。
一般的な投げ入れ用の花器の高さは25㎝前後ですので、倍以上の高さのある、非常に背の高い花器です。
花器を置く位置やかお花を飾るスペースにもよりますが、このように背の高い花器には横や下に流れるようなラインのお花が似合います。
私はいつも玄関にお花を置く台の上に花器を置いてそこにお花を飾っていますので、この花器を使う時は必然的に枝物は横や下向きの動きのあるスタイルになります。
お花を生ける
まず初めに、雪柳を入れます。
雪柳は矯めの効く枝物ですが、今回はお花が付いているので、余りにも長い時間枝を触っているとお花が取れてしまうので、矯めは少なめです。
『矯め』とは、植物(主に枝物)にじわじわと力を加え曲線を作っていく作業の事です。
猫柳、赤目柳などの柳系の枝物を活ける時には、この『矯める』作業をよく使います。
今回は矯めは少なめですが、その代わりに元々の柳の持っている曲線が際立つように、メインの枝の流れを残し、それ以外の枝は整理をしてカットしています。
次にシンビジウムを入れます。
シンビジウムの一番下のお花が、花器の口元付近に来るように長さを調整します。
先に入れた2本の雪柳の先端と、シンビジウムの先端で出来た三角形が、
二等辺三角形にならない様に調整するとバランスよくまとまります。
左右対称ではない方が、動きがあり自然だからです。
その次にチューリップを入れます。
チューリップは、その葉っぱの形もユニークで魅力の1つですので、
私は必ず葉っぱも使用します。
今回は一部の葉っぱはお花部分とは別にカットして使っているものもあります。
ですからチューリップの茎を切る時には、葉っぱを傷付けない様に気を付けます。
それからフリージアを入れます。
フリージアは茎が細く繊細なので、茎を長く残して入れると美しいのですが、
今回は花器の口元付近にお花が来るように短めにします。
チューリップも葉っぱと共に入れるので、長さがあります。
後ほど入れるスイトピーも縦にお花が並んでいるタイプのお花ですので、
ある程度長さが残ります。
このような場合には、思い切ってカットする勇気も必要です(笑)
少し分かりにくいですが、ドラセナを入れています。
シンビジウムの下側(花器との間)やシンビジウムの後方の空間を埋めています。
最後にスイトピーを入れて完成です。
濃い紫が入る事で、作品がキュッと引き締まりました。
まとめ
今回は、雪柳、チューリップ、フリージア、スイトピーといった
春のお花を使った生け花です。
ただし、色合いが少し濃いめです。
同じ花材でも、もっと淡いパステル調でまとめると、
春爛漫といった印象になりそうですね。
この作品を活けるポイントは、
雪柳の枝の整理と、作品の中心部分(花器の口元付近)に空間を作らない、という2点です。
雪柳の枝を整理し、枝の流れを1本化することで流れが感じられます。
作品の中央部分に空間を作らずお花の塊を作る事で、枝の流れはより強調されます。
そして今回に限らず言える事ですが、
お花が階段状にならない様に後方にも短いお花を入れます。
後ろに短いお花や葉っぱがある事で、作品はより立体的に仕上がります。
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