今回の生け花は、とても主張の強い葉物の扱い方がテーマです。
葉物を主にお花を活けていきたいと思います。
お花の紹介
枝物ははんの木です。
私がお花屋さんで働いていた時には目にしたことがなかったので、余りなじみのない枝物なのですが、自然界では20mにも達する大木になる事もあるそうです。
松ぼっくりの様な果実が出来ます。
可愛いですね。
メインのお花はLAリリーです。
今回はもう2輪開花しているので、長さのバランスが決めやすいです。
サブのお花はオンシジウムです。
品種にもよりますが、ランの中では割と買いやすい価格帯のお花です。
添えのお花にはスターチスです。
控えめなお花ですが、今回はLAリリーもオンシジウムも黄色系なので、
差し色としていい働きをしてくれそうです。
そして、タイトルにもある葉物、谷渡りです。
長さが70㎝強ある葉物なので、とても強い主張があります。
普通の葉物を入れる感覚では少し扱いづらい植物ですので、
先ずこの谷渉をどう活けるかを決めるのが第一になります。
花器を選ぶ
谷渡りは矯めも効くので、曲線を作り大きく感じられるような作品に仕上げようと思います。
そこで選んだのがこちらの花器。
私の持っている花器の中では定番の形と大きさの投げ入れ花器です。
投げ入れスタイルで、花器の口元より下からうえにかけて、ぐっと広がりのあるお花を入れていきます。
お花を活ける
お花を入れていく前に、まず十字留めを作ります。
十字留めとは、投げ入れでお花を入れる時にお花を思った位置に固定させるための仕掛けです。
花器の内側の口元より少し下の方に、使わない枝物で縦横に橋を渡すようにしておきます。
これによりお花が花器に寄りかかったようにならずに、中央部分からでも立ち上げるような入れ方が可能になります。
今回はまず初めに葉物である谷渡りから入れます。
1枚は直立させるように入れ、
もう1枚は、しっかり矯めた後ホッチキスを使って形を作ってから入れます。
谷渡りはハリがあるので、いきなりホッチキスで留めようとすると、破れたり折れたりしてしまいます。
葉っぱの中央部分の黒く見えるところを、指の腹を使いじわじわと力を加えていき十分に柔らかくなってから丸めると折れたり破れたりせずに形作ることが出来ます。
次にLAリリーを入れます。
今回は開花しているので、長さを決定しやすいです。
咲いているお花が花器の口元にかかるように長さをカットします。
ユリは葉っぱの多い植物ですので、お水に入る部分の葉っぱは確実に取り除いておきます。
更に、お花の部分にかぶさってくるような葉っぱも取り除いて、スッキリさせてから入れます。
その次に、はんの木を言えます。
今回は枝物は主にはしないので、短くカットして使います。
枝分かれしているところでカットして、ユリの後方に角度や長さに変化を付けて入れます。
それから、スターチスを入れます。
スターチスは色のアクセントとして入れるので、短めにカットし、ユリの周辺部分に低く入れます。
差し色が入る事で、ユリの色が際立ちました。
最後にオンシジウムを入れて、完成です。
オンシジウムは、作品の中央に向かって光が差し込むように入れると綺麗です。
まとめ
今回の作品を活けるポイントは、谷渡りの使い方です。
長さもあり幅もある大きな葉物なので、今回の様に加工してから使う事が多い植物です。
面積も大きいので、まず最初に入れるとバランスよく仕上がります。
そして今回だけでなくすべてのお花を活ける時に共通する事ですが、
後方にも短めのお花を入れて、お花が階段状に並ばない様に活けます。
後方にも短いお花を入れることで、作品がより立体的になり魅力的なお花を活けることが出来ます。
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