朝晩がやっと寒くなってきました。
冬が苦手なので本当は寒くなって欲しくはないのですが、晩秋は晩秋らしいというような季節の移ろいを感じたいとも思います。
今週の定期配達のお花は、思わず触りたくなる質感のお花が入っていました。
お花の紹介
今回の枝物はカンガルーポーです。
2本入っていました。
paw(ポー)とは足の事、つまり『カンガルーの足』のような姿のお花です。
写真の黄色い部分の質感はベルベットのようで、細かい毛で覆われている植物です。
オーストラリア原産のお花ですが、今回のはジンバブエからの輸入品です。
お花屋さんに置いていると、「コレ本物?」と触られる頻度の高いお花の1つです。
(カンガルーポーに限らずですが、お花は繊細なので、もし「本物かな?」と思っても触らないでくださいね。)
今回のカンガルーポーは黄色ですが、オレンジ系や赤系もあります。
続いても触られる頻度の高いお花、ピンクッションです。
こちらも2本です。
名前の通りお裁縫で使うまち針が『針山』に刺さっている様なお花で、『針』にあたる細い飛び出している部分も植物とは思えないくらい硬くて張りがあります。
こちらもお花屋さんに置いていると触られる頻度の高いお花です。
(何度も言いますが、お花屋さんに置いてあるお花は本物かどうか気になっても触らないでくださいね。)
こちらは南アフリカ原産のお花です。
オニソガラムが2本。
さらに、アスター。
こちらは下の方で枝分かれしていて、茎は細め、お花も付きすぎていない使いよさそうな枝ぶりの物が1本。
葉物にはレザーファンが2枚です。
レザーファンと言えば、アレンジメントを作る時のカバーグリーン(土台となる吸水フォームを隠すための葉っぱ)の代表格です。
私自身は、生け花の葉物としては使ったことがありませんでした。
表に出して『見せるための葉っぱ』という印象を持ってなかったので、どのように使うか考えているところです。
そして、アクセントにチョコレートコスモスが2本です。
写真のチョコレートコスモスは光の加減で赤系にみえますが、実際にはもう少し茶色がかっています。
ほのかにチョコレートのような甘い香りを持つお花です。
茶色系は共に活けるお花の色を選ばず、どのようなお花の色ともせる事の出来る万能カラーです。
細い茎の植物は風にたなびいているように活けると、その植物の魅力を引き立たせることが出来ます。
チョコレートコスモスは、私の大好きなお花の一つですので、その良さをうまく出したいです。
さて、今回チョット難しいかなぁと思うポイントは、ほとんどのお花が2本ずつ入っているという点です。
単調にならないように気をつけながら活けていきたいと思います。
花器を選ぶ
今回の枝物カンガルーポーは、上に行くほど枝分かれし広がっています。
ピンクッションも見た目にインパクトがある為、実際のお花の大きさ以上にボリューム感があります。
ですから、お花のボリューム感や広がりを受け止められるような花器が必要です。
今回選んだのが、こちらです。
漢字の『回』という字のような花器です。
以前に寒桜を活ける時に使用した花器でもあります。
この花器を使って投げ入れで活けてみたいと思います。
お花を活ける
まず枝物からです。
カンガルーポーは枝分かれしているところから折れやすいので、気をつけて扱います。
今回は次に、一番インパクトのあるお花であるピンクッションを活けました。
写真では奥行きが分かりずらいのですが、背の高い方のお花が手前に、低い方のお花が奥になるように配置しています。
どのようなお花を活ける時にも言える事ですが、後方のお花が高く前方のお花が低い階段状のお花の配置にならない様に気をつけます。
後方が高く前方が低い記念撮影のお写真ようなお花は単調で平面的な構成でつまらないものになってしまいます。
次にアスターを入れます。
下の方で枝分かれしていたので、3本に分けることが出来ました。
後にレザーファンのグリーンがお花の間に入り込んでくるので、インパクトのある黄色・オレンジのお花の間のグリーンのさらにその隙間から紫がチラチラっと見える様子を想像しながら配置します。
黄色・オレンジ系の中にほんの少し紫が見えるというのは、アクセントとしてとても効果的です。
ただし、紫の量が多すぎるとくどくなってしまうので、あくまでも『チラチラっと』がいい塩梅です。
更に、オニソガラムとレザーファンを入れます。
レザーファンは葉っぱの間から向こう側が透けて見えます。
ですから、レザーファンごしに紫のアスターがチラチラっと見える事で、より奥行や立体感が出せます。
最後にチョコレートコスモスを入れて完成です。
チョコレートコスモスの細い茎は風の動きを感じさせるので、低いお花の間からすっと伸びるように出すことで、お花の特色が最大限に発揮されます。
まとめ
今回は、ベルベットの様な肌触りのよい質感と、ピンクッションの植物ではない様なチクチクした質感、という2種の思わず触りたくなる質感のお花を活けました。
質感にインパクトのあるお花は、実際の大きさ以上にボリューム感を感じやすいので、それを受け止められるような花器に活けます。
質感というのは非常に大事なお花の要素です。
色だけではなく表面の質感にも気をつけてお花を見ると、もっとお花を楽しむことが出来ます。