先日友人に頼まれて、お花を活けました。
『活ける』といっても、ボリュームはお花数輪を組み合わせて飾るというくらいです。
しかし、花器の色とお花の色の組み合わせを考えるという点や、グリーンや枝物の大切さを再認識するという点で、とても面白い経験になりました。
花器の紹介
今回友人に頼まれた内容は、「ここにお花を活けて欲しい。」というものでした。
本来の用途は灰皿です。
ころんとした可愛らしい形。
カラフルな色。
適度な大きさ。(直径15cm、高さが80㎝)
花器として代用するにも最適なサイズです。
更に足つきなのが使い易いです。
つまり花瓶とお花を置く台が一体化しているような感じです。
ですから「花瓶を置くところがない。」という問題も解消されます。
ただし、本来の用途は灰皿ですので、中に小さな空き瓶やペットボトルを短くカットしたものなど、何か防水性のある入れ物を入れてお花を活けます。
今回はこちらを使用しました。
お土産で頂いたプリンが入っていた、小さな牛乳瓶の様な容器です。
6つお揃いで、とても使いやすいサイズなので、普段からお花を活けるのにとても重宝しています。
作品例はこちら。
お花選び
お花を活ける花器の色が、白・黒・赤・黄色の4色展開という事をふまえて、お花屋さんに行って来ました。
まずは、チューリップ。
「この寒いのにチューリップ?」と思われるかもしれません。
このお花を活けたのは、12月の中旬です。
チューリップがお庭や花壇で咲くのは、春ですよね。
地域や品種によっても異なりますが、3月下旬から5月上旬というのが、外で育てた場合の一般的な開花時期です。
ところが切り花の場合は、もっとずっと早いです。
お庭でチューリップが咲きだす頃には、切り花のチューリップはもうほとんど終わりです。
お花屋さんで働いていた時、春になってから「チューリップの花束が欲しいのですが。」という依頼が毎年数件ありました。
切り花の世界でチューリップの季節と言えば、11月の下旬から3月中旬くらいです。
つまり、卒業式の頃にはチューリップの切り花はお花屋さんにありますが、入学式の頃にはもうありません。
話はそれてしまいましたが、今回のチューリップは八重咲きです。
チューリップは、温度が上がるとお花が開き、温度が下がるとお花がつぼむという性質があります。
花壇で咲いている時にはさほど気にならないのですが、「切り花のチューリップが咲いている姿があまり好きでない。」という方もいらっしゃいます。
おそらくお花屋さんに置いてあるときの、つぼんでいる状態の『コロンとまぁるいチューリップ』がお好きだからだと思われます。
チューリップが開くと、上の様なまぁるいフォルムではなく、どちらかというとユリの様な姿になります。
ところが八重咲のチューリップの場合は、一重のものと比較すると『咲いた(開いた)』という感じよりもひらひらした部分に目がいくので、咲いた感じの苦手な方にもおすすめです。
お花選びのお話に戻ります。
次にフリージアに目が向きました。
とてもいい香りのするお花です。
フリージアもまたガーデニングの視点からいうと春のお花ですが、切り花では寒いうちに流通します。
迎春向けのアレンジメントにもよく使用します。
今回購入したのは白とピンクのフリージアですが、このほか黄色もお花屋さんでよく見かけます。
花の咲く枝物、雪柳。
こちらも、公園やお庭などで見かけるのは春です。
ちょうどお花見の時期に、公園で桜と雪柳が満開になっているのを目撃します。
切り花の雪柳もチューリップやフリージアと同様に、切り花ではまだ寒い時期に出回ります。
続いては、お花屋さんに必ずあるお花、ガーベラです。
ガーベラは色が大変豊富です。
今回は濃いめのピンク、もしくはニュアンスのある赤、というような色味です。
年間通じて流通し、価格も¥150~¥200で大きな変動はありません。
花束にもアレンジメントにも使いやすく、ご自宅用にも飾りやすいので、お花屋さんでもとても人気のあるお花の1つです。
ガーベラについて詳しくはこちらもご覧ください。
同じくお花屋さんの人気者、ヒペリカムです。
赤やピンクも人気がありますが、今回はグリーンを選択。
自己主張をしながらも、他のお花の色味を引き立てるという、とても使いやすいお花です。
もさもさ、ふわふわとした質感がとても楽しいケイトウも購入しました。
ケイトウには、お花の形が全く違う数種類の品種があります。
こちらもケイトウです。
ベルベットの様な毛足を持つ、触りたくなるような質感のお花です。
今回購入したのは、アレンジメントにもよく使用されている、円錐形に細長く咲く方のケイトウです。
最後に、ブプレも買いました。
正式には『ブプレウルム』です。
しかしお花屋さんでもきちんと「ブプレウルム」と呼んでいる人は少ないかもしれません。
省略して「ブプレ」とか、「ブプレリューム」と言いやすいように変えちゃって呼んでいる人がほとんどです(笑)
私もどれが本物か調べる機会なく過ごしてきたので、今回書くにあたって調べました。
キチンとした名前で呼ばれることは少ないブプレですが、とても使いやすいお花です。
茎が葉を突き抜けるように伸びているのが特徴で、いくつにも枝分かれしています。
分かりやすく言うと、『緑色のカスミソウ』のような役割をしてくれるお花です。
例えば、チューリップやガーベラあるいはミニバラといった可愛らしい印象のお花と組み合わせてミニブーケ風にまとめると、ブプレの特徴を発揮したナチュラルな花束が出来上がります。
後は、以前に購入したミスカンサスやアイビーがまだ綺麗な状態で残っているので、それらも使用したいと思います。
お花を活ける
まずは、赤い花器から
お花は花器の赤色に合わせて、赤系のガーベラとケイトウを合わせます。
今回買ったお花の中では、チューリップも赤系です。
しかしよく見てみると、チューリップは朱色系の赤色です。
花器の赤は、朱色系ではなく純粋な赤色です。
ですからここにはチューリップは入れずに、赤系のガーベラとピンク系の赤のケイトウを合わせます。
更にアイビーで動きを付け、少し寂しいのでブプレを少し使用して全体をまとめます。
次に黄色の花器
黄色に限らず色のある花器にお花を活ける時は、グリーンを多く使用すると綺麗にまとまります。
今回も、白のフリージアにグリーンのヒペリカムとブプレを合わせています。
黄色に黄緑という組み合わせでとても爽やかな印象です。
続いて黒の花器
黒い花器には赤のチューリップを合わせました。
チューリップと言えば可愛らしいイメージのお花ですが、黒い花器にグリーンを多めに合わせる事で、きりっとした印象に仕上がります。
最後に白い花器
ピンクのフリージアに短めにカットした雪柳、更に下方向に動きを出すために、ハサミの背側でカールさせたミスカンサスを合わせます。
花器の白、雪柳の白、ミスカンサスの葉っぱの白っぽい部分、という具合に『白』という一体感で、まとまりのあるものになります。
まとめ
お花を活ける時、もちろんお花だけを活けても美しいです。
更にそこにグリーンをプラスすると、ますますお花が生き生きとしてくることもあります。
動きが出たり、爽やかさをプラス出来たり、お花の色を際立たせたり、統一感を出してまとめたり。
グリーンの役割は非常に大きいのです。
また、今回の雪柳の様にお花の付いた枝物もプラスすると、より表情豊かに仕上がります。
私の家族は誰も煙草を吸いませんので、
「ここにお花を活けて欲しい。」と頼まれることがなかったら、おそらく出会わなかった商品ですが、
お花を活ける花器として非常に使いやすいものでした。
「お花を活けるのは花瓶」という先入観を捨て、
身近にある代用品を使ってみると思わぬ発見があるかもしれません。
私もとても勉強になりました!