お花屋さんにとってチョット難しいお花のご注文があります。
それは、『ブルー系の花束』のご注文です。
特に、『男の子向けのブルーの花束』のご注文が難しいです。
私の経験からですが、このご注文が特に増えるのが、夏休み期間などのお稽古ごとの発表会シーズンです。
「発表会で渡す花束を、男の子向けなのでブルー系で。」というかたちでご注文がよく入ります。
大人の男性向けの花束のご注文ではブルー系のご指定は少なめでしたが、男のお子様向けの花束のご注文の際に頻繁にブルー系というご指定を受けました。
何故、チョット難しいご注文なのでしょうか?
それは、『青いお花』というのは、切り花では少ないからなのです。
青い色のお花は種類がとても少ないうえに、花束のメインに使う様なバラやガーベラには天然の『青い色』がないからなのです。
お花屋さんで常に青い色のお花を常備しているという所は少なく、お花屋さんに青い色のお花がないという日も珍しくはありません。
青いお花にはどのような種類があるのか、ブルー系の花束を注文する時の注意点、青いお花を使ったお花の組み合わせ、などを紹介していきたいと思います。
代表的な青いお花
青いお花の代表と言えば、デルフィニウムです。
花びらは透けるように薄く繊細で、爽やかで涼しげな印象のあるお花です。
基本的には年間を通じて流通しているのですが、常にお花屋さんにあるという訳ではありません。
こちらもデルフィニウムです。
上で挙げたデルフィニウムは、枝分かれしていてお花も薄く繊細な雰囲気ですが、こちらは1本にお花が縦に並んでたくさんついている品種です。
とても長さがあるので用途がある程度限られていて、大きなアレンジメントやスタンド花、デイスプレイなどに使われます。
次によく見る青い色のお花は、ブルースターです。
星形の小さなお花は、繊細で可憐な印象です。
こちらも同じく基本的には年間を通じて流通していますが、常にお花屋さんにあるという訳ではありません。
渋めの青いお花
夏を中心とした時期に出回るのが、ニゲラです。
花びらは(正式には花びらは退化してなくなっているので、ガクです。)とても薄く繊細です。
周辺のひげの様に見えるモシャモシャとした部分や花びらがゆらゆらと揺れ動き、風を感じさせてくれる軽やかなお花です。
写真の下の方に3つある不思議なとげとげのボールが、ルリ玉アザミです。
私の1番好きな青いお花です。
少しミステリアスな色をしています。
ブルーのようでもあり、紫っぽくもあり、グレーっぽく見えたりもします。
いわゆるお花っぽさはないので、最初はとっつきにくいかもしれませんが、独特の質感や丸いフォルムがいい味を出してくれます。
上に挙げたルリ玉アザミに似ていますが、こちらはエリンジウムです。
お花はやや楕円の物が多く、お花の下にある葉っぱのような部分(総苞と言います)も青みがかっている少し個性的なお花です。
キレイな青い色のお花、というよりグレーのような紫の様なニュアンスのある青いお花です。
梅雨時期にお庭や公園で咲いているお花のイメージのあるアジサイも、切り花としてお花屋さんでも扱っています。
輸入の物もありますので、注文すればほぼ通年で手に入れることも可能になりつつありますが、通常お花屋さんに並んでいるのは初夏です。
お花1輪が大きめでとても立体的なので、大きめのアレンジメントやテーブル装花、大きめの花束に入れたり、と少しボリューム感のある仕上がりに向いています。
夏の終わりごろから秋にかけての青いお花と言えばリンドウです。
少し紫に近い濃いめの綺麗な青いお花です。
少し和風な感じがします。
これも青いお花
このトルコキキョウの色は何色でしょうか?
一般的な色分けでいうと、紫ですよね。
しかし、お花の色分けでは、これもブルー系という場合もあります。
こちらのトルコキキョウもそうです。
普通なら紫、でもブルー系として扱われることもあります。
このような紫のバラも、ブルー系でまとめられることもあります。
こちらはアゲラタム。
これも同じく紫ですがブルー系とも言われます。
つまり、お花屋さんでブルー系というと、青い色はもちろん、一般的には紫と分類されるいろも含まれることがあります。
ブルー系の花束を注文する時の注意点
文頭で、ブルー系のお花のご注文が難しいと述べたのは、青いお花が元来少ないというのもありますが、お客様の思っている『男の子向けの青』のイメージでブルー系の花束が作りにくい、というのもあります。
青い色のお花には、ブルー系の持つ『軽やかさ』、『爽やかさ』、『涼しげな』印象のお花が多いです。
広い意味で紫系のお花まで含めると、大人っぽい印象や落ち着いた印象のお花も多いです。
以上の事から、ブルー系の花束は、男の子っぽい元気なイメージというより、クールでどちらかと言えばおとなしい印象になりがちです。
ですので、『ブルー系の花束』を注文する時には、お花屋さんときちんと相談して確認を取り合っておく必要があります。
「ブルー系の花束を注文していたのに、取りに行ったら紫の花束だった!」という事態が発生してしまうのは、ブルー系の認識に差があるからなのです。
青いお花の組み合わせ
グリーンや白と合わせると、ブルーの持つ透明感や爽やかさを引き立てるます。
空気感のある軽やかな仕上がりになります。
デルフィニウムのように涼しげなブルー系のお花をご自宅に活ける時には、ガラスの花瓶を使いお水も見せるように活けると、軽やかさや爽やかさを感じさせます。
ブルースターの様に、マットなブルーは、白やピンクと合わせると可愛らしさを引き立たせることが出来ます。
ピンク系のアレンジメントにブルースターをアクセントにすることはよくあります。
この配色はご自宅に活ける時にも応用できます。
ピンクの可愛らしさ、ブルーの可愛らしさの双方を引き立たせあっています。
ブルー系のお花は、爽やかで涼しげで、合わせる他のお花によって可憐にもなります。
ただ、青い色のお花は種類も少なくお花屋さんに行けばいつでもあるという訳ではないので、ブルー系の花束を注文する時には、あらかじめお花屋さんに行って相談したり予約をしておくのがお勧めです!
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