前回の定期配達のお花は、枝物を曲げ、お花の主張を極力抑え、花器に焦点をあてる、といういわゆる『生け花らしい生け花』ではない活け方を試してみました。
今回配達されてきたお花は、カチッとした枝物、大きなお花らしいメインのお花、葉っぱらしい葉物。
今週の定期配達のお花は、いわゆる『生け花らしい生け花』として仕上げるのにぴったりな花材です。
お花の紹介
メインのお花は、姫南天です。
通常の南天よりも葉も小さく、背丈も小さめの、園芸用の品種です。
秋から冬にかけては紅葉します。
お正月の寄せ植えにも使われる植物です。
メインのお花は、シャクヤクです。
私の1番好きなお花の1つです。
つぼみのうちは、ピンポン玉台ですが、非常に大きく咲く華やかなお花です。
今回は優しげなピンク色のものが3本です。
サブのお花には、ナデシコです。
お花自体は可憐で繊細な印象のお花なのですが、今回のナデシコは枝分かれしており、ボリュームたっぷりです。
シャクヤクの可愛らしさを引き立ててくれそうな、シックな色味です。
サブのお花の2つ目は、グリーンミストです。
白い小さなお花の集合で、モシャモシャとした葉っぱも不思議な印象を与えるお花です。
アクセントとなるお花には、ブローディアです。
写真では大きさが分かりづらいですが、茎も細く非常に小さなお花です。
上で大きく広がる姫南天、咲くと非常にボリューム感の出るシャクヤク、それらの中でどのように位置づけるのかを気を付けないと、消えてしまいそうなほど繊細な印象です。
葉物はギボウシです。
大きく丸みのある葉物で、夏場の生け花でよく使用する葉物です。
花器を選ぶ
今回は、花材も生け花らしい選択ですので、花器も生け花らしいもので合わせる事にしました。
私の持っている花器の中で、最も定番の形の水盤、黒い楕円の水盤を選びました。
お花を活ける
まず、剣山は花器の向かって左側に寄せてセットします。
そこに枝物である姫南天を活けます。
姫南天は、上部で広がっている形の枝物ですので、とてもボリュームが出ます。
あまりにも短くカットしてしまうと、葉っぱのボリューム感が目立ち過ぎてしまいますので、
ある程度長さを残して、大きくのびのびと活ける事にしました。
次にメインのお花であるシャクヤクを活けます。
つぼみのシャクヤクはピンポン玉くらいの大きさですが、非常に大きく咲きます。
シャクヤク同士をくっつけ過ぎず、適度に高低差を付け前後にも間隔を開けて、3本を配置します。
次に、サブのお花であるナデシコを入れていきます。
今回のナデシコは花数もとても多く、枝分かれしているところからの長さもしっかりありました。
枝分かれしているところでお花を切り分け、シャクヤクよりもぐっと短めに、シャクヤクの背景になるように後方から右側にかけての足元近くに入れていきます。
同時に剣山を隠す役割も果たしてもらっています。
サブのお花の2つ目、グリーンミストを活けます。
モシャモシャとした柔らかな葉っぱの様子に面白みがあるので、お花というより葉物を活けるような感覚で、同じくシャクヤクの背景となるように、左から手前にかけて入れていきます。
その次は、先に葉物のギボウシを入れてしまいます。
今度はギボウシが、先ほどのナデシコの背景となるように入れます。
メインのシャクヤクに、ぐっと立体感が感じられるようになりました。
最後に、ブローディアを短くカットして活けたナデシコの上にふわっとたなびかせるように入れて、完成です。
手前の大きく咲いたシャクヤクと、右奥のつぼみのシャクヤクの間にかすかにブルーが確認できるかと思います。
写真では分かりづらいのですが、それがブローディアです。
肉眼ですともう少しはっきりとしているのですが。
茎が細く、軽い感じのするお花は、風を感じるように少し長めに揺れるように活けると、お花の特性が生かせます。
リューココリーネを活ける時にも同じ事が言えます。
まとめ
今回は、久しぶりに『生け花らしい生け花』となりました。
お花の色の面積に対して、グリーンの面積がやや多めですが、初夏にはこのくらいの割合が爽やかで気持ちが良いのではないでしょうか?